彼女が見ていた桜の川
高校時代川のそばに住んでいた友人が、こんなことを言っていた。
「桜の季節は川に桜の花びらがいっぱいになって綺麗なんだよ。」
彼女は私と同じ市区町村に住んでいて、高校で初めて知り合った方だった。
私と同じ母子家庭で、私との共通項が他の人よりあったので、私は密かに親近感を持っていた。
大学生の時に彼女は少し離れた市区町村に引っ越してしまった。
私は彼女が話していた「桜の川」の景色がどんなものなのかずっと気になっていて、この季節になると川のそばに行こうと試みている。
でも私が行くと、毎回川に花びらなんて浮かんでいない状態だった。
心の中でまだ見ぬ景色を想像しつつ、彼女が偶然見かけた一回性のものなのかもしれないという疑念もわいてきていた。
今年も桜の季節が来て、川に吸い寄せられるように行ってみると、⬆のような景色を見た。
「あっ……これがそうなのかな。」
やっと辿り着いた景色がそこにある気がした。
もしかしたら、彼女が見ていた景色とは違っているのかもしれないが。
桜の花びらが散るのは葉桜の頃だと思っていたが、今回行ってみてまだ枝に花びらがたくさんあるうちでもこんなに散ってしまっているのかと少し驚いた。
散った花びらは流れに流れてどこへ行くのだろう。
よく人が使う平凡な例えで申し訳ないが、
「花が散るように人間の命も皆が思うより短し」
と思った。
今まで生きてきた30何年が長いのか短いのかは分からないが、色んな人がおったものだ。
人生辛いことの方が多かったけど、今やれることを精一杯やっていれば、「未来がどう」とか「過去がどうだったか」なんて気にする必要はないよね。
私は人の気持ちが分からんかったり、毎日とちってばっかだけど、そんな中でもどこかに心通じる人がおるのではと思って淡々と日々を過ごしているのです。