映画『ちょっと今から仕事やめてくる』の感想
現在公開中の『ちょっと今から仕事やめてくる』という映画を見てきました。
映画館の人からしたら、「この映画見に来る人は仕事辞めたいんかな~」と思われてそうですね。(^_^;)
ずっと原作の方が話題になっていて気にはなっていましたが、読む前に映画の方が公開されたので見てしまいました。
というわけで原作の方は知らないので、映画の方を見た感想を載せておきます。
(まだ見てなくてネタバレは困る方は、見た後に読んでいただければ幸いです。)
率直な感想は、
「よかった。」
です。
(おいっ!)
(……ってこのパターン前もやったような……。)
最初は主人公青山が働く会社について分かるようなシーンから始まりますが、見てたら自然と涙ぼろぼろになってましたね。
就職活動が上手くいかなくて、やっと一社内定をもらって、「ここで頑張るんだ」と奮起して働き始めたものの、想像してなかった現実にことごとく希望を奪われていくという……。
企業体質が違法ではないかと思える部分があったり、結果が出なければボロクソに言われるは、残業三昧で私生活が乱れるはで生きることに疑問ばかり持ってしまう日々。
「私と一緒だ……」
と、頭で考えるよりも先に体が反応しているようで、涙が終始あふれていました。
正直もっと平静で見られると思っていたのに……。
青山の働く会社の「ブラック企業」感はやや誇張されている感じがありましたが、どうしても私が今まで働いたことのある会社とかぶる部分がありました。
今月6月から新卒の方の採用活動が本格的になるそうですね。
就職市場は「売り手」だと言われていて、大企業は相変わらず人気だとニュースで見ました。
私が大学を卒業した2008年も、リーマンショックが起きるまでは「売り手」と言われてました。
ちっとも内定をもらえなかった私にしてみれば、「でもそんなの関係ねぇ!」
の世界でしたよ。
求人数はあっても、企業が「ある程度仕上がった」学生を積極的に採用していくので、内定をいくつももらえる人とそうでない人の差が出てきたりします。
私の考えでは就職氷河期の時に採用を抑えた関係で、企業内の技術が継承されにくく、若手にいきなり高度な仕事をさせているのではないかと思うのです。
それに加えて産業構造の変化で、生き残る業界、会社というのが読めない状況で、雇う側も雇われる側も不安定な状況にあるのではないかとも思います。
こういう状況下では、働く方の仕事のミスマッチが起きやすいですし、職業キャリアが積めなかった方が就職市場から閉め出されやすくなるのではと私は危惧しております。
映画で主人公青山の自殺を阻止しようとしたヤマモトは双子の設定でした。
一方がブラック企業で働いた末に自殺をし、もう一方がバヌアツで教師をする道を選びました。
これは同じ人物が環境によって色んな生き方も可能だということの示唆なのかもしれません。
生き方を選ぶ基準は人それぞれかと思います。
私も他の多くの方が思っているように、好きなことで生計を立てられたらどんなにいいかと思います。
しかし自分が好きな道で身を立てるには、相当の資金、時間、努力が必要です。
私の場合は、仕事は生活のためと割りきって、その他の時間で好きなことをすればいいかと思ってます。
それなのに、新卒で入った会社の社訓みたいなものに、
「仕事に生き甲斐を見出だしましょう」
とありました。
合うはずがありません。
これから働く方も、今生きることに悩んでいる方も、他人が思うような「ネームバリュー」とか「安定的」とかいうキーワードにとらわれる前に、自分に合った生き方を選択して欲しいと思います。