弱き者たちの連帯
今まで読んだ本で、その時の自分の心を揺さぶった本、救ってくれた本はいくつもあるはずなのだが、読んでしばらくたつと内容が全く思い出せなくなっている。
そんな私なので、ブログを始める前は自分が読んでよかった本でも紹介するサイトとか作ろうかとも思ったが、いざ書こうとなると、
内容がさっぱりさっぱりなのである。
(何も身に付いてないみたいで嫌だ~。)
という訳で、その都度気になった本をとりあえず覚えてる断片だけでも紹介して、気になった方には検索してもらおう!ということにした。
(何て他力本願なんだ。)
今回は2作品紹介します。
①「ぼくの守る星」 神田茜
②「この女」森絵都
①まずタイトルをみて初めは、純粋に環境とか自分を取り巻く組織とかを守る話かと思っておりました。最後に「ぼく」が守る「星」が何なのかが分かって「ははぁ~。」となりました。
主人公は読み書き困難な障害を抱える少年で、見た目には分からないこの障害によって周囲の人に理解されずに一人孤立感を深めていきます。
そんな時、ふと親しくなったクラスメイト2人も家庭環境で周囲には分からない事情を抱えてそれを誰にも明かせずにいるということを知り…。
それぞれ理解されない思いを抱えている3人が関わり始めることで、少しずつ彼らは困難に立ち向かう勇気を与えられていきます。
自分のことを分かろうとしてくれる人の大切さ、そういう人が一人でもいるということの幸せを感じられる一冊です。
②森さんの作品は高校時代に『カラフル』を読んでから何作か読んでます。
あの時はホントに孤立してて死ぬんじゃないかと思うくらいつらい時だったので、自分の人生を新たな気持ちでやり直すというのは新鮮で救いにもなりました。
このお話は日雇い労働をして生活する青年が、とあるきっかけから報酬を得てある女性のそれまでの人生を小説にするというのが大筋です。
その日暮らしのどうにもならない現実や、彼らが辿る行く末など、舞台は90年代半ばなのに今に通ずるものがあり、胸が詰まるものがありました。
また大きな災害や事件があった95年を振り返るとまだ小学生だった自分も、何か寒々とした感じがあったことを思い出します。
社会の理不尽さに翻弄され、社会に身の置き所がないような人達が手を取り合い、厳しいながらも日々を生きていこうとする姿勢に希望が感じられました。
青年は自分の書く小説の主人公の女性と新たな人生に歩みだしましたが、その矢先に震災が…。
彼のような方には幸せを掴んでもらいたいという心境で読んでおりましたが、無情だなと。
でも終わりを読んで、また冒頭の箇所に戻って読み返すと、よりこの作品のよさが感じられます。
私の今いる職場ではやはり要領のいい人がいて、そういう人にとっては、私のように頑張っても能力に限界がある人がいることを理解出来ません。
そのため私に対して無視したり、強く接してきます。
こちらで紹介したいずれの作品の主人公も周囲には分からない障害を持っていますが、理解されずに苦しむ場面は現実の自分の状態と何度もリンクして泣けるものがありました。
障害という形でなくとも、人びとに理解されない事情を抱えて闘っている人は一杯いると思います。
そういう者同士が連帯することで、そこに彼らの居場所が出来て、生きる活力にもなると思います。
厳しい世の中ですが、弱き立場にあるもの同士が連帯して、この世界で幸福に生きられることを心から願っております。